ミニ四駆作ってみた

ミニ四駆に復帰していろいろと。

ミニ四駆作ってみた〜その481「低抵抗化で速いミニ四駆を作る その2」

前回はミニ四駆を1つの電気回路としてみたときの電流と電圧の話をまとめてみました。

poke4wd.hatenablog.com

 

電圧降下がどれだけ大事な要素かがわかってもらえたかと思います。

今回は、アルカリ電池でもマッハやスプリントを速く走らせるために、本題である「低抵抗化」をおこなっていきます。

 

低抵抗化:回路全体の電気抵抗を下げる

 

これをするにはどうすればいいのか?

1つ1つ考えていきます。

 

ミニ四駆の電気抵抗になっている部分は下記になります。

  • モーターのコミュテーターとブラシの接点
  • ターミナルと電池の接点 x4
  • ターミナルとモーターの接点 x2
  • 両軸:スイッチ
  • ターミナル自身の内部抵抗

モーターのコイルの巻線抵抗は微量なので無視します。(どうにも出来ないし)

 

上記ほぼ全て、接点なんです。

接点端子と端子が触れ合っている場所のことで、接点は電気抵抗になります。

電気が流れる際に邪魔になる部分で、流れにくくなるし、熱も持ちます

熱が上がるとさらに抵抗値が上がるので、走らせ続けるとどんどん抵抗値が上がり、速度が落ちます。

また、電流が大きく流れると接点の抵抗は増え、さらに熱を持ちやすくなります。

そして、抵抗があるところでは必ず、電圧降下が発生します。

つまり、この電圧降下を下げるために低抵抗化を行う感じです。

 

この抵抗値はテスターなどで測ることはほぼできません。

前回はオームの法則でいろいろみていきましたが、接点は非線形の抵抗値変化なので線形のオームの法則では説明ができないです。

 

なので。

とにかく抵抗を下げるためにどうすればいいか、を考えていきます。

 

 

 

1.接点圧を上げる

まず有名なのがこれです。

接点は圧力をかけることで電気抵抗率が下がります

低抵抗化として最もよく改造で行われているものですね。

ターミナルの電池接触部分に裏側からブレーキを挟んで、圧力を強くかけるようにする、って感じです。

ブレーキは青ブレーキがおすすめですが、他のものも使えます。

タイヤの切れっ端、ゴム管、などもブレーキより圧がかけられます。

 

次にできる場所がモーターとターミナルの接点です。

片軸だと手が出しにくい部分ですが、両軸、特にMSシャーシは圧をかけることができます。

その方法は、

  • ターミナルのモーターに接触する部分の裏側、シャーシ側に1mmブレーキ貼り付ける

  • モーターの端子の裏側、エンドベルに1mmブレーキを貼る

この2つを行うと端子同士の圧が上がります。

その上で、強化ギアカバーのここに2mmブレーキを貼ります

強化ギアカバーはロックナットで締め付けるので、このブレーキを使って押し下げることで圧を上げられます。

モーターの固定化にもつながるので、ここ張っておくだけで速さにつながります。

ノーマルギアカバーではこの圧が弱いので、強化ギアカバー1択です。

めんどいけどw

 

 

2.接点面を広くする

これはモーター慣らしになります。

カーボンブラシのモーターは慣らせば慣らすほど、ブラシが削れてコミュテータとの接点の幅が広くなります

接点面が広ければ広いほど、電流は流れやすくなります

なのでモーター慣らしはしっかりやるべきです。

ただ、ブラシが削れる=圧力は減るので、程よい慣らしを見つける必要があります。

あとモーターに関しては前も言いましたが、回転数が高く消費電力が低いモーターを選んでください。

少しでも消費電力を下げることも、アルカリ電池で走るためには有効です。

そもそも、マッハダッシュはアルカリ電池で性能は出ない、と説明書きに書いてあるくらい無理なものだと認識してください。

高回転消費電力大のマッハとハイパーをアルカリで走らせるとわかるのですが、マッハめちゃ遅いです。

ジャパンカップで勝ち上がって支給アルカリで走らせた瞬間に遅くなる人がいるのはこれが原因です。

 

接点面を広くすることが電流消費につながるので、消費を押さえるために開けポンマッハを使うのも手です。

このあたりは試しながら、になると思います。

慣らす前に回転数と消費電力を確認して、低い電流で回転数を確保できていたなら、慣らさず使うが正解です。

 

 

3.ゴールドターミナルと銅ターミナル

よく質問とかでありますよね、ゴールドターミナルと銅ターミナル、どっちが速いか

そもそも金と銅だと金のほうが性能高いと思ってる方がいらっしゃいます。

実際はこんな感じです。

 

電気伝導率(大きいほど電流が流れる)

Cu(銅) 59.0 × 10^6S/m

Au(金) 45.5 × 10^6S/m

 

電気抵抗率(小さいほど低抵抗)

Cu(銅) 1.55 μΩcm

Au(金) 2.05 μΩcm

 

性能は銅のほうが圧倒的に高いのです。

しかもゴールドターミナルのメッキの中身は真鍮などなので、さらに性能が悪いです。

でも世の中の電子機器などを見ても、ほとんどの場合は金メッキです。

なぜ銅を使わないかというと、銅が腐食して酸化すると酸化銅になるのですが、これ、ほぼ絶縁体です。

通常の銅と比べると10の10乗倍の抵抗になりますw

金は腐食に対して最強の金属なので錆びたりしません

だから普通の機械などは金メッキが多いわけです。

金でコートするのが最強のサビ防止策になるのです。

 

を使っていく場合は、走行前に磨いてメンテナンスしていきましょう。

やり方としては、リューターに綿棒半分に切って取り付けて、低回転で磨く感じでOKです。

金属磨き布なんかもおすすめです、100均でも入手可能かと思います。

磨くのは接点の部分だけで十分です。

(全部磨いたほうが気持ちいいけどw)

あと、有名なピカールや一般的なパーツクリーナー、これは使っちゃダメです。

皮膜が残って、その皮膜が水分を含みやすくまた錆びやすくします。

使うなら無水エタノールにしましょう。

あともう1つ、そもそも銅が錆びなきゃいいわけで。

防錆剤を塗布する手があります。

こんなやつ。

磨いた後にこれをつけて、少し置いて乾いたら無水エタノールで拭く感じです。

皮膜張られるはずなので、通電率落ちるかもですが、メンテがほぼいらなくなります。

 

最終手段というか、実は速い人たちがやっているやり方があります。

それは、練習はゴールドターミナル、レースは銅ターミナルを使い、レース終わったら捨てる

メンテなんてしないんです、1発勝負の使い捨てです!w

 

でもやっぱりもったいないですよね。

なので、メンテしてしっかり使うほうがいいとは思います。

 

あと小ネタですが、両軸のターミナルのほうが厚みが大きく、電流が多く流れやすいです。

なので両軸であればゴールドターミナルでもそこそこ性能出たりします。

 

 

4.接点グリス

接点に塗布することで、伝導率を上げるためのグリスです。

基本、油は電気を通さないのですが、接点グリスは中に通電材や金属粉が入っていて通電させます。

物理接点は1点で繋がってしまうのですが、その隙間を接点グリスが埋めることで、伝導率が上がるという仕組みです。

ただ、電気屋界隈ではあまり効果がない、と言われています。

接点の接触で押し出されて、結局のところ点でしか伝わらないから、らしいです。

(機器保護のために使う場合がほとんどらしい)

じゃ、なくてもいいかな・・・となりますが、ここでオススメ品が1つ。

カーボングリスです。

接点の隙間をカーボンで埋めるので、めちゃくちゃ通電性に優れていています。

モーターとかのコミュとかに塗布はできませんが、ターミナルとモーターの接点やスイッチ部分にこれを塗るとよいです。

電通安定化に貢献できる逸材だと思います。

 

ちなみに、片軸にもスイッチはありますが接点はありません

直接電池に触れるタイプのスイッチなので、両軸より接点が1つ少なく、電気抵抗的に有利だったりします。

 

 

5.熱除去

最後はおまけに近いですw

接点は熱を持つのですが、接点の温度が上がると抵抗が増えます

なので、接点の温度を下げられるといいのですが、走行してなければ小型扇風機などで冷ましながら使うのがベストです。

走行中に下げるには、モーターであればヒートシンクをつけることで空力で冷めやすくなります。

ターミナルに関してはどうにもできないのですが、実はMSシャーシのみ、温度が上がりにくいです。

なぜかというと、全シャーシの中で唯一、ターミナルが外部に露出しているからです。

ここね。

シャーシに引っ掛けるためにある部分だけど、ここが外に出てるというだけで空冷効果が期待できる。

MSシャーシの優遇感はこんなところにもあったりします。

 

 

1つ1つは小さな抵抗なのですが、これが全部足されるとそこそこの抵抗値を下げることができます。

ほんの少し抵抗が下がるだけでも、接点での電圧降下を食い止めることができるので、やれる限りやるべきです。

電圧降下は電流と接点抵抗の積(掛け算)なので、ほんのちょっとでも効果があります。

ベアリングや他のパーツでも言えますが、小さなことの積み重ねが速度につながります

低抵抗化も当たりモーターのような莫大な効果があるわけではないですが、かならず効果のある改造です。

ぜひトライしてみてください。

 

次回は低抵抗化を行った場合の回転数と電流値などを測ってみます。

どれくらい変わるか…

 

ではでは。

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